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【ソーシャルビジネスプラン部門 大賞】自社のレーザー加工技術を活かした「おもてなし菓子」づくり

2019.3.20 wed

正栄工業株式会社 × 社会福祉法人ユウの家

■参加動機と企業課題
弊社では過去に障がい者雇用を検討しており、面接を実施し準備していましたが、最終的にミスマッチとなり雇用することができませんでした。障がいがある方との仕事の方法や、どんな仕事ができるか等、再度学び・考え、将来障がい者雇用をしていく準備をしていきたいと思ったため参加しました。同時に弊社はBtoBの事業ばかりですので、BtoCの事業を立ち上げたいと思っていました。弊社のレーザー技術を活かしたBtoC事業をこの機会に立ち上げることも目標としました。
まずは福祉事業所のみなさんがどんな仕事をしているのか、支援員のみなさまがどんな支援をしているのかなどを知るために、福祉未来価値創造大賞が企画された福祉事業所見学会・勉強会に参加しました。見学会では、堺市にある「森のキッチン」さまに行きました。ここは堺市の地下にあるレストランで、障がいがある方が7割も働かれていました。お昼には200人もの方が来られますが、障がいある方々が対応されていました。指差しで注文できるようにすることや、作業を分業する工夫が随所に見られ「工夫をすれば働きやすい職場づくりができる」ということを学びました。その後、弊社の近くにある「大阪障害者職業能力開発校」を見学させて頂き、弊社でも扱っているCADを学んでおられ、その技術がとても高いことに驚きました。これらの経験を通して、弊社でできるソーシャルビジネスプランを若手社員が中心となり考え始めました。

■ソーシャルビジネスプラン
おもてなし菓子
企業オリジナルのお菓子を弊社とユウの家さまで製作します。弊社には来客者をおもてなしする「おもてなし委員会」があります。海外進出に取組んでいる弊社では、海外からの来客も多く、日本のものづくり技術はもちろんお客様をおもてなしすることも大切にしています。「おもてなし委員会」では毎回お客様に出すお茶菓子の選定に困っていました。そこで、お菓子づくりが強みであるユウの家さまと案を出し合いました。そこで生まれたのが「企業オリジナル菓子」です。弊社の強みであるレーザー技術を生かして、ステンレス板で弊社のロゴプレートを作製しました。そのロゴプレートを使用し、ユウの家さまが製作したラスクの上にチョコレートでロゴを入れて、正栄工業オリジナルの来客用お菓子を誕生させました。これが「おもてなし菓子」です。
これは弊社だけに留まらず、他の企業にも提案していきます。来客時にお菓子を出す際に、おもてなし菓子の想いも伝え、共感いただき発注を頂く予定です。また年に2回ほどものづくり展示会にも出展していますので、そこでもアピールします。鉄屋がお菓子を作るというのはとてもインパクトがあります。
これまでは金属加工だけであった弊社がお菓子も販売できるのは、新たな事業発展につながります。ユウの家さまとともに、win-winの関係を構築したいです。
■ソーシャルビジネスプラン2
施設外就労
職場環境を障がいある方が働けるように工夫をすることで、自分たちと同じように働ける、ということを施設見学によって学んだ弊社は、仕事を見直し、仕事の切り出しを考えました。そこで出てきたのが2つの仕事です。

【メタルソー】
これは金属の棒を円板状の刃物で切断する仕事です。弊社主力製品の部品のひとつで、決まった長さで切断していきます。機械にアテがありますので、長さを測る必要がなく、同一製品を制作することができます。

【バリ取り機】
これは金属の角をなめらかにする機械です。コンベヤーに製品を乗せ、バリ取りを機械が行い反対側から取ります。片面ずつしか出来ないので、再度ひっくり返してまた乗せるという作業です。

これらの仕事をユウの家さまの職員の方に見て頂き、安全性や難易度も確認した上で、職員の方もこの仕事なら挑戦してみたい、と言って頂きました。その後利用者の方にも職場体験に来て頂き、実際に仕事をすることができました。今後は施設外就労で定期的お越し頂く予定です。
弊社では同じ仕事をしてもらうので、障がいがあってもなくても時給は同じだろうという考えから、施設外就労での工賃は、一般のアルバイト時給と同じ時給である950円をお支払いします。大阪府のB型事業所の平均時給は161円ですので、大幅に上回っています。
■福祉未来価値創造大賞に参加して
はじめは弊社で何ができるか、全く想像できませんでした。しかし、福祉事業所や障害者職業能力開発校への見学する中で、障がいあるないは関係なく考えてみよう、と思えるようになりました。また福祉事業所の方々が弊社を見学に来て下さり、自分たちはもう使えないと思い廃材にしていたものが、福祉事業所の方にはアートの材料になったり、まだ使える用途があるのではないか、と色々と案を頂戴できました。
現在は福祉事業所とのコラボ案は2つが進行中ですが、これを機にもっとコラボを促進し、障がいある方と共に働ける会社に成長させていきたいです。